2022 年 11 巻 4 号 p. 211-215
症例は急性巨核芽球性白血病の48歳男性。血液学的寛解期に,ブスルファン,シクロホスファミドによる骨髄破壊的前処置を用いてHLA適合同胞より同種末梢血幹細胞移植を施行した。移植片対宿主病(graft-versus-host disease,GVHD)の予防には,シクロスポリンとメトトレキサートを投与した。好中球生着前の移植後8日目に発熱と胸痛が出現し,臨床的に急性心膜炎と診断した。急性心膜炎に対してコルヒチンを投与し,速やかな症状の改善を認めた。同種造血幹細胞移植後の心膜炎は,放射線照射や慢性GVHDなどを原因とする移植後晩期発症例が知られているが,本症例は造血機能が回復する前の移植後早期に発症した急性心膜炎と診断した。移植後早期に発症する急性心膜炎に対してもコルヒチンが有効である可能性が示唆された。