本調査では、日本の 4 年制大学の約 1/4 である 195 大学を対象とした網羅的な天文学シラバス調査を行った。この中で、天文学の授業を開講している大学は 25%(49 / 195)しかなく、さらに一般教養科目としての天文学を開講している大学は調査対象全体の 17%にとどまることがわかった。さらに、一般教養科目 74 講義に限ってテキストマイニングとクラスター分析を行ったところ、一般教養科目としての天文学は大きく 4 グループに分けられた。これら 4 グループ中で、全体の 23%(17 / 74)を占めるグループに属する授業では、講義題目に「天文」「宇宙」という語句を含むにも関わらず、まったく宇宙の内容を扱わないことが明らかになった。また大半の授業は天文学を専門としない教員によって担当されていることがわかった。これらの結果を踏まえて、国際天文学連合の唱える「総合科学としての天文学」を大学教育の現場でどのように展開していくかを議論する。