抄録
本研究は、プラネタリウム環境における星空鑑賞がもたらす「癒し」効果を心理的・生理的
側面から予備的に検証した。実験参加者内計画のもと、自然映像(条件A)、自動解説(条件
B)、生解説(条件C)の三条件を設定した。心理指標はリラクセーション評価尺度短縮版(SMARE)
、知覚されたストレス尺度(PSS)、PHRF ストレスチェックリスト・ショートフォ
ーム(PHRF-SCL)を用い、各鑑賞前後の差分を算出した。生理指標は胸部単誘導心電図から
心拍数(HR)と心拍周期(RRI)を抽出し、鑑賞初期と終期の比較をCohen’s dz で要約した。
その結果、心理指標はいずれの条件でもリラックス方向への変化を示したが、寄与は尺度と条
件で異なり、生理的緊張の低下や不安の減少は生解説(C)、安静感の増進は自然映像(A)、
不安や疲労反応の軽減は自動解説(B)が比較的明瞭であった。一方、生理指標ではB で最も
安定したHR 低下・RRI 延長が認められ、C がこれに次ぎ、A は逆方向傾向を示した。以上よ
り、星空提示は短時間でも心理・生理の両面で癒しを喚起し、提示様式によって効果の現れ方
が分化する可能性が示唆された。