天然有機化合物討論会講演要旨集
Online ISSN : 2433-1856
第60回天然有機化合物討論会実行委員会
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38. ナフトピラノン化合物を位置選択的に二量体化する真菌由来カップリング酵素MCEの発見
*大城 太一川口 未央豊田 雅幸大手 聡猪腰 淳嗣藤井 勲供田 洋
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 223-228-

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抄録

【概要】 微生物や植物から、ナフトピラノンやアンスラキノン、キサントンなどの3環性芳香族化合物が炭素-炭素結合で二量体化したビアリル型化合物が数多く単離されている1-6) (図1)。この二量体の結合様式で分類すると頭部分同士や胴体部分同士、頭部分と胴体部分の結合などさまざまであり、その生産者によって特異な位置で立体選択的に結合し、軸異性を生じうる。これらの化合物は、色素として働く場合や抗菌活性、細胞傷害活性、酵素阻害活性などの様々な生物学的活性を示す。しかし、この二量体化酵素の実体はほとんどわかっていない。我々研究グループは、微生物資源から脂質代謝調節剤の探索を実施し,この過程で真菌Talaromyces pinophilus FKI-3864の培養液中からナフトピラノン環を有するmonapinone A (MPA)とこれが8-8’位で結合し二量体化し軸異性を生じたdinapinone A1 (M体, DPA1)とA2 (P体, DPA2) を発見した(図2)7-11)。水道水で作った培地ではdinapinoneを生産するが,海水で作った培地ではその単量体であるmonapinone Aを生産することを報告した (図2)8)。さらに、T. pinophilus FKI-3864より調製した無細胞液に MPAを加え反応を行なうとDPA1と DPA2を生成したことから、T. pinophilus FKI-3864に二量体化を担う酵素の存在が示唆された11)。 本研究では、MPA から DPA を二量体化するmonapinone coupling enzyme (MCE) の単離精製および酵素学的特徴、基質特異性、MCE遺伝子の特定について報告する。

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© 2018 天然有機化合物討論会電子化委員会
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