抄録
石炭は豊富な埋蔵量,また埋蔵地域が偏在していないことから,今後ともエネルギー資源として期待されている。一方で環境負荷の低減から更なる低NOxが求められていることから,石炭焚ボイラ向けに適用される超低NOxバーナ(M-PMバーナ)を開発・実用化した。当社バーナの豊富な実績,及び近年計算能力向上が著しいシミュレーション解析結果から,①微粉炭と1次空気の良好な混合と着火面拡大による良好な着火実現と未燃分低減,②低酸素燃焼下でも内部保炎を維持し火炎内部での還元物質による効果的なNOx低減,③最適位置への2次空気投入での外炎部での酸素濃度調整により高温高酸素領域の改善からなる低NOx燃焼コンセプトを得た。本コンセプトをもとにしたバーナを開発し,4t/h単一バーナ燃焼試験炉にてスケールアップ検証を行い,従来低NOx A-PMバーナに比べ,NOxを20~40%,未燃分を25~50%低減を確認した。バーナ改造のみ,あるいはバーナ+AA(Additional Air)改造を実施した発電用ボイラ4缶における実機検証(出力350~700MW,中燃料比炭,灰分約10%)の結果,50~110ppmの世界最高レベルの超低NOxレベルが達成可能であることを検証し,運転費低減対策が可能となることを確認した。