天理医学紀要
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症例報告
感染性心内膜炎に対して長期セフトリアキソン使用後に胆石症を起こし胆嚢摘出術に至った成人男性の1例
津崎 光司佐田 竜一東 光久石丸 裕康八田 和大郡 義明
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2009 年 12 巻 1 号 p. 75-81

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抄録

症例は24歳男性.2週間持続する40℃前後の発熱と脾梗塞による左季肋部痛を主訴に受診し,精査の結果Haemophilus parainfluenzaeによる感染性心内膜炎と診断した.セフェピム1 g × 2 回を3 日間,セフトリアキソン2 g × 1 回を3 日間投与するも効果不十分だったため,セフトリアキソン2 g × 2 回に増量し,6週間投与を行った.6週間のセフトリアキソン投与終了後,右季肋部痛を訴え始めたため,精査すると胆嚢結石を発見した.入院時には胆嚢結石は認めておらず,セフトリアキソンによる胆石症と診断した.絶食補液,ウルソデオキシコール酸にて経過観察としたが,胆石発作を繰り返したため,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.摘出された胆汁,胆嚢結石からはセフトリアキソンを検出した.成人男性でセフトリアキソン使用による胆石症をきたす例は稀で,また手術適応となることは珍しい.高用量でのセフトリアキソンの長期投与を行う際には胆石症のリスクに関して注意する必要があると考え,報告した.

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© 2009 公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所
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