抄録
子宮頸部由来の癌肉腫は非常にまれな腫瘍であり, 予後不良であると一般的には考えられている. 今回我々は, 子宮頸部由来の癌肉腫が子宮内膜と卵管に進展していたが, 初回治療後3年間無病生存している症例を経験したため, 若干の文献的考察を加え報告する.
症例は61歳, 未経妊女性. 閉経後不正性器出血を主訴に当科外来を初診. 初診時の経腟超音波検査およびMRIでは, 子宮内膜腫瘍および充実部分を伴う両側付属器腫瘍を指摘. 卵巣転移を伴う子宮内膜癌との術前診断にて子宮及び両側付属器切除術を施行した. 病理組織学的検査にて, 子宮内頸部より外向発育性の腫瘍を認め, 同部には腺癌成分と軟骨肉腫成分を認めた. 腺癌成分と類似した癌腫成分を子宮内膜および卵管内膜に認めた. 子宮頸部由来の癌肉腫, および両腫瘍の子宮内膜,卵管転移と診断. シスプラチンおよびイホマイドによる術後全身化学療法を施行. 非常に厳しい予後が予想されたが, 初回治療後36か月の時点で無病生存中である. 子宮頸部由来の癌肉腫は子宮内膜由来の癌肉腫とは生物学的特性が異なる可能性が考えられた.