【目的】本研究では，放射線画像での胸膜肺実質線維弾性症（pleuroparenchymal fibroelastosis; PPFE）様所見に対応する病理学的所見と，病理学的なPPFE 所見を認める症例の臨床的・形態的特徴を評価することを目的とした．
【方法】CT 画像でPPFE 様所見を有する肺移植レシピエント59 例の摘出肺の病理所見を後方視的に検討した．
【結果】特発性14 例，二次性12 例で病理学的なPPFE 所見が認められた．病理学的PPFE 所見は，気胸の既往，肺上葉の容積減少，扁平胸郭といった臨床的特徴と関連していた．病理学的PPFE 所見を有する特発性症例と二次性症例を比較すると，臨床，放射線画像，病理学的所見は類似していた．病理学的PPFE 所見を有する症例の移植後の5 年生存率は68.6% で，特発性症例と二次性症例の間には有意差がなく（P = 0.57），同じコホートの特発性肺線維症（idiopathic pulmonary fibrosis; IPF）症例との比較でも移植後予後に有意差は認めなかった（P = 0.62）．
【結論】 CT 画像でPPFE 様所見を有する間質性肺炎症例の全てが病理学的なPPFE 所見を有するわけではないが，特徴的な臨床的所見を伴う症例においては病理学的PPFE 所見の存在が示唆された．病理学的PPFE 所見を有する特発性症例と二次性症例の臨床的・画像的・病理学的所見は類似していた．病理学的PPFE 所見を伴う症例の移植後の予後はIPF 症例と同様であった．
