鉄と鋼
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非水溶媒電解抽出法によるマルエージ鋼の析出物の同定
岡田 康孝遠藤 丈仲山 剛
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1983 年 69 巻 6 号 p. 703-710

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抄録
MS系電解液による電解抽出によりマルエージ鋼中の微細な析出物を抽出することができた.また,残渣のICP分析による合金元素の定量分析と電子線回折により,析出物の組成と結晶構造の両者から析出物を同定することができた.合金の成分系,時効条件と析出物の関係は以下のとおりである.
1)Ni-12.5Co-6Mo-L2Ti系:まずNi3Tiが析出し,その後FeMoが析出することが明らかになつた.FeMoの析出はNi量の増加により促進され,硬化の促進に寄与していると考えられる.Niが17.5%になると最高時効条件付近からNi3Moが認められた.またCoを添加しないとNi3Moの代わりにFe2Moの析出が認められた.
2)Ni-12.5Co-6Mo系:FeMoが析出し次いでNi3Moが析出し,両者は2段階の硬度上昇によく対応することが明らかになつた.なおNi3Moの析出はNi量の増加により促進された.
3)Ni-12.5Co-1.2Ti系:Ni3Tiのみが認められた.なおNi3TiはNi量にかかわらず微細な針状であることが明らかになつた.
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