北里大学一般教育紀要
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原著論文
日本における児童・生徒の書く力の測定方法についての考察
--全国学力・学習状況調査と全米学力調査の比較から--
上田 紋佳猪原 敬介
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2021 年 26 巻 p. 43-60

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抄録

 本稿では、我が国における児童・生徒の書く力の測定についての課題を把握することを目的とし、全国学力・学習状況調査の国語および全米規模の学力調査(National Assessment of Educational Progress: NAEP)のWriting科目を概観した。全国学力・学習状況調査の国語の記述式問題を分析したところ、読解型の記述式問題が大半であり、全国学力・学習状況調査ではあくまでも読解力を測定していることが分かった。一方、NAEPではReading(読解)科目とは独立してWriting科目として書く力を測定しており、自分の考えや物語を書くなどの書かせる問題が多数含まれている。書く力の構成要素についての代表的理論であるSimple View of Writing(Berninger & Swanson, 1994; Juel, Griffith & Gough, 1986)の観点からも、NAEPの方が書く力を測定する課題として適切であると考えられる。児童・生徒の書く力を把握するためには、NAEP型の書く力を測定する問題を読解力測定とは別に追加し、達成度レベルによる評価基準の設定が必要であると結論づけた。

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