鉄と鋼
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Cr-Ni 系オーステナイトステンレス鋼の塑性変形に及ぼす積層欠陥エネルギーの影響
植木 正憲小山 利正坂井 真一中村 正久
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1985 年 71 巻 6 号 p. 743-748

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抄録

積層欠陥エネルギーが異なる5種類の Fe-Cr-Ni系オーステナイトステンレス鋼の塑性変形挙動を調査した結果を以下のようにまとめることができる.
(1)応力-ひずみ関係において降伏応力の積層欠陥エネルギー依存性は乏しいが, 加工硬化率およびある程度大きい歪みでの変形応力は, 積層欠陥エネルギーに依存し, 低積層欠陥エネルギーの合金ほど高くなつた.
(2)コットレル・ストークス比は, 変形応力の非熱成分および熱成分の相対的寄与の尺度を示しており, この比が積層欠陥エネルギーの増加に対してほぼ直線的に増加することから, 高積層欠陥エネルギーの鋼ほど, 非熱成分の寄与する割合が大きくなることが判明した.
(3)活性化体積は, 高積層欠陥エネルギーの鋼ほど小さくなり, またそのひずみに対する変化の度合は, 高積層欠陥エネルギーの鋼ほど大きかつた.

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