1992 年 78 巻 10 号 p. 1577-1584
塗膜下めっき腐食先端におけるZnの腐食反応を検討し以下の知見を得ることができた.
(1)乾湿繰返し及び濡れ環境下における塗膜下腐食先端では以下のめっき腐食反応が起こる.
(めっき腐食反応)
めっき上におけるアノード反応: Zn→Zn2++2e-めっき及び近傍の地鉄上におけるカソード反応:
1/2O2+H2O+2e-→2OH-
(塩基性塩化亜鉛の生成反応)
5Zn2++2Cl-+8OH-→ZnCl2・4Zn(OH)2
(めっき腐食反応のOverall)
5Zn+5H2O+5/2O2+2Cl-→
ZnCl2・4Zn(OH)2+2OH-
(2) in-situ pH測定によりZnCl2・4Zn(OH)2形成層内は弱アルカリ性(pH=8~9)になっていることが判明した.
(3)ZnCl2・4Zn(OH)2層上の化成皮膜は溶解せず安定に存在していることが確認された.
(4)ZnCl2・4Zn(OH)2層下の地鉄は腐食していないことからZnCl2・4Zn(OH)2は地鉄に対するProtectiveな保護波膜となっているものと考えられる.