1992 年 78 巻 4 号 p. 544-550
粉鉱石を上投入しても飛散を抑制できる条件を見いだすために,コールドモデル実験と大型転炉を用いた溶融還元試験を行い,次の諸点を明らかにした.
(1)上昇ガス流の中に粉体流を落下させた時の粉体飛散量は,粉体流の表面積に比例する.粉体流の比表面積を小さくすることによって,粉体粒度,比重,上昇ガス流速によらずに飛散を飛散率を抑制することが可能である.
(2)溶融還元大型試験で,粉鉱石流を短くするように,炉壁に設けた孔からスラグが多い状態の炉内に流し込む方式で,微粉鉱石についても飛散を無視できてる程度に抑制できることを確認した.したがって,粉鉱石添加に関しては塊成化は省略可能である.しかし,同じ方法で粉炭材を添加した場合には,飛散率は30%以上と高かった.
なお,本論文中「3.溶融還元炉の試験」は日本鉄鋼連盟溶融還元研究開発委員会の共同研究において得られたものである.