1992 年 78 巻 4 号 p. 551-556
高焼成の石灰るつぼを用いて1550~1700℃の範囲で溶鉄とFetO-CaOsat. 2元系スラグとの平衡実験を行った.その結果は以下に要約される.
(1)溶鉄中の酸素量は次式で示され,温度の増加により減少することが分かった.
log[%O]=-5240/T+1.743
(1848<T/K<1973)
(2)FetO-CaOsat.2元系融体はほぼ正則融体として取り扱えることが示唆された.
(3)溶鉄と平衡するFetO-CaO-CaF23元系スラグの1600℃におけるCaOの飽和溶解度曲線を定めた.
(4)CaO飽和のFetO-CaO-CaF23元系スラグと平衡する溶鉄の1600℃での酸素溶解度はCaF2濃度の増加と共に減少するが,それに伴うFetO濃度の減少に見合うほどは大きくない.これはCaF2濃度が増加するとFetOとCaF2との相互作用の増加によるスラグ中のFetOの活量係数の増加に起因すると結論された.