鉄と鋼
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炭化時の機械的加圧が石炭の軟化溶融性に及ぼす影響
三浦 孝一中川 浩行堤 大三藤澤 拓司丹羽 健太郎
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1996 年 82 巻 5 号 p. 399-403

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抄録

機械的に加圧しながら昇温する方法によって微粘結炭の軟化溶融が促進される機構を検討するために種々の検討を実施した結果,次の知見が得られた.
(1)機械的加圧は熱分解挙動に大きく影響し,次の効果をもたらす.
(a)生成物組成:H2,CO,H2O収率の減少,CO2,HCG収率の増加。これらの変化は,現象的には雰囲気ガスの圧力の影響と同じである.
(b)生成固体性状の変化:固体収率の増加,マクロ孔,ミクロ細孔の減少,THF抽出率の増加,溶融成分残留量の増加,軟化溶融性の増加.
(2)機械的加圧は石炭粒子の圧密,融着を促進し,石炭層を一体化させる。その結果粒子内のガス圧が上昇し,揮発性成分が粒子内に滞留することによって石炭の軟化溶融がおこる。軟化溶融がおこると揮発性成分の拡散速度がさらに低下し,低分子で安定化する反応が促進されるためにさらに軟化溶融が促進される。このようにして,機械的加圧によって石炭の軟化溶融が促進されると推定できた.
(3)軟化溶融を促進する物質は分子量数百の2~3環程度の芳香族化合物であることが推定された。

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