東京未来大学研究紀要
Online ISSN : 2433-5487
Print ISSN : 1882-5273
原著
我が国のソーシャルワークの価値・理念に関する予備的考察
—過去5年間の『社会福祉学』「学界回顧と展望」のレビューより—
西川 ハンナ
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2017 年 10 巻 p. 121-133

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抄録

 本稿の目的は、1)『社会福祉学』にみる我が国におけるソーシャルワークの価値や理念を研究動向から分析し、2)ソーシャルワークのグローバル定義のわが国の固有な定義の展開に向けて寄与することを目指す。方法は学会誌『社会福祉学』「学界回顧と展望」の全7部門のうち「理論・思想」、「社会保障・社会福祉政策」、「ソーシャルワーク」の3部門の5年分のレビューにより行った。結果はソーシャルワークの価値や理念に関して近年人間の「脆弱性」が注目されていること、社会保障や福祉政策の転換期にサービス費用の徴収や再分配の根拠に一般的な社会福祉にも含まれる理念や価値が求められていた。我が国のソーシャルワークの価値や理念の独自な部分を明らかにするには、遡って慈善事業と呼ばれる相互扶助の仕組みなど再考することや、また今後に関しては新しい社会問題に対しての地域やNPOの取り組みからその地域や当事者、非専門職の「知」に含まれる価値や理念も研究することが課題であるといえる。

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