東京未来大学研究紀要
Online ISSN : 2433-5487
Print ISSN : 1882-5273
原著
保育者のキャリア形成の過程に関する研究(3)
―保育士から幼稚園教諭、幼稚園教諭から保育士への転職理由の比較―
浅井 かおり浅井 拓久也
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2023 年 17 巻 p. 1-11

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抄録

 本研究は複線径路・等至性モデル(TEM)の手法を活用して、保育士から幼稚園教諭、幼稚園教諭から保育士にそれぞれ転職した際の理由を比較したものである。

 研究結果から、保育士から幼稚園教諭に転職した際の理由は、幼稚園の先生への憧れ、年齢の問題への考慮、1人担任への挑戦、自分の力を試してみたい、短期大学で学んだ音楽を保育現場で実践してみたいという意欲からであったことが示された。幼稚園教諭から保育士に転職した際の理由については、個々との関わりをより重視したい気持ちの高まり、個々の関わりを学び深めたい、新規開設園に所属して一から保育や行事を作ってみたい、将来を見据え、自身が保育士向きか幼稚園教諭向きかを確かめたいという気持ちからであったことが示された。

 転職したそれぞれの理由の違いについては、伝統のある幼稚園で1人担任としてクラス運営や保育実践に挑戦してみたいこと、あるいは新規開設の保育所で一から保育や行事を作り上げていく中で、子どもの個々の関わりについての学びを深めたいことであった。

 保育を日々実践し続けるなかで反省や課題、新たな目標とより学びたいことが見つかり、また新たな挑戦をしてみたいという意欲の高まりから、それを実践できる環境として、制度や組織、運営の異なる保育所あるいは幼稚園それぞれの道を選択し転職していたことが明らかとなった。

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