東京未来大学研究紀要
Online ISSN : 2433-5487
Print ISSN : 1882-5273
原著
保育者のキャリア形成の過程に関する研究(4)
― 保育職と一般企業間のトランジションに焦点を当てて ―
浅井 かおり浅井 拓久也
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2024 年 18 巻 p. 1-13

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Abstract

 本研究では保育者養成校を卒業して保育職に就いた保育者が、一般企業への就職に移行するまで及び移行時に注目をした。保育職から一般企業職への移行に影響を与えた要因や気持ち等の変化、移行時に直面した事柄に焦点を当て検討をした。  幼稚園教諭経験者2名に半構造化インタビューを依頼し、複線径路・等至性モデル(TEM)を用いて分析を行った。TEM図を作成して分析を行った結果、共通点が見出された。保育職から一般企業職に移行したいと考えた理由については、現状からの脱却、別の環境や業種で自分の力を発揮することへの期待、他業種で自分の力を試したいという挑戦心であった。一般企業職への移行を決意するタイミングについては、年長児を受け持った経験、3歳児から5歳児までの全ての学年を受け持った経験という幼稚園特有の区切りが関係していた。  また一般企業職への移行時については、別業種に就き世界が広がったことへの楽しさを感じ、対子どもから対大人になった難しさや生活リズムの違いに大変さを感じながらも契約や商談等について一から学び、保育職で培ってきたコミュニケーション能力や保育技術を生かしながら移行していったことが明らかになった。  保育者としてのキャリアを構築していった後に、保育の知識や技術、幼稚園教諭として培ってきた力を生かしながら新たな分野で自身の力を蓄え磨いていく。キャリアを広義的に捉えたさいに保育職での経験を生かしながら長期的、継続的にキャリアを構築していく、職業者としてのキャリア構築例が示された。

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