東京未来大学研究紀要
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投影描画法によって現れたコンプレックス
─陰影が語るもの─
府川 昭世
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2012 年 5 巻 p. 99-110

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抄録

 意識体系の中心的機能として自我を考える分析心理学の立場から、投影描画法によって現れるコンプレックスを概観した。自我の働きを乱すものがコンプレックスである。コンプレックスには中心となる二つの核がある。一つは心的外傷であり、もう一つは普遍的無意識である。投影描画法の一つである樹木画は、無意識的に深い層の自己像が表れるといわれている。樹木画に表現される陰影は、心的外傷とそれに付随する感情を表すとともに、普遍的無意識の元型の一つである影を象徴的に表している。

 筆者が出合った小学生・中学生・高校生の樹木画に表現された陰影をコンプレックスの観点から質的に考察する。「健常群」にも陰影のある樹木を描いた描画者は9割いた。「臨床群」の樹木画は、その陰影の濃さと陰影がほどこされる範囲によってコンプレックスの強さを印象づけた。陰影によって象徴される影は、破壊的にも建設的にも働きうることが示された。

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