東京未来大学研究紀要
Online ISSN : 2433-5487
Print ISSN : 1882-5273
原著
家庭科の基礎・基本の見直し
―衣生活に関する「できない」「知らない」事象の解釈をもとに―
小林 久美中西 雪夫財津 庸子鈴木 明子柳 昌子松園 美和赤崎 眞弓長山 芳子
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2015 年 8 巻 p. 39-50

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抄録

 本研究は、家庭科教育の基礎・基本の在り方について検討する際の示唆を得ることを目的にした研究の一環である。本報では、衣生活における「できない」「知らない」事例を収集し、それらの事象が問題であるか、その根拠は何か、どこで習得すべきかを、家庭科教育に携わる研究者および指導者等に調査した。その結果、「できない・知らない」事象が問題であるとするカテゴリーは「洗濯」が最も多く、習得すべき根拠は「実用性の観点」であったが、習得の場は「学校と学校以外の両方で」となった。「着装」も「実用性の観点」は多いが、「文化的な観点」も重視された。家庭科で最も習得すべきは「ミシン縫い」で、その根拠は「教育的な観点」であった。このように、回答者や衣生活活事象により、問題とする認識、習得すべき根拠、学習の場と学校段階に差異が見られた。これらの差異を分析することは、今後の家庭科教育における衣生活の基礎・基本の在り方を検討する資料になると言える。

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