季刊地理学
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研究ノート
広島県三次市における多様な主体によるバス交通サービス供給体制の構築
田中 健作
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2014 年 66 巻 1 号 p. 17-29

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抄録
2004年の市町村合併によって発足した三次市は中山間地域の一つであり,バス交通の不採算地域となっている。三次市では,広域的なバス交通サービス供給圏を維持するために,複数の交通サービスが組み合わせられている。広域化した市域のバス交通サービス圏を維持するために,バス交通サービスが階層的に区分されて輸送を補い合っており,コミュニティバスやデマンド型交通が旧町村内や民間路線バス空白地域を埋めている。各交通機関に対する運営主体の配置は,PPP(Public-Private-Partnership)の拡大を伴いつつ進められた。市当局は,ローカルルールを踏襲しつつ民間事業者に対して財政負担を行い,地元団体に対しては運営協力を要請したり自治会活動の一部として位置づけたりした。これらより三次市では,行政,低コスト操業の可能な民間事業者,より低コスト操業が可能な地域団体といった多様な主体が携わる,公共交通運営のための連合体が形成されていると考えられる。
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© 2014 東北地理学会
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