本稿は,浦戸諸島野々島における人工洞穴「ボラ」の分布と利用に関する現地調査の速報である。松島湾を構成する中新統の松島湾層群の中でも,流紋岩質凝灰岩から成る松島層は,石材(野蒜石)や摩崖仏等に利用されてきた。そのような利用形態の一例として,松島湾地域や浦戸諸島野々島では崖線下に人工洞穴が掘られ,日常生活に利用されてきた。野々島では,島西側の崖線下に計65のボラを確認できた。現在の野々島では,いくつかのボラが物置として利用されるにとどまっているが,聞き取り調査の結果や現地調査で確認できた痕跡を総合すると,かつては煮炊きの場や風呂場として利用され,平地が少なく稠密な集落であった野々島の日常生活において重要な空間として活用されていたことが窺えた。このようなボラは,松島湾地域の自然環境と人間生活の関わりを考える上で好適な素材である。
本報告は地理学の研究対象になりうるものの,看過されてきた河川敷での火災に注目し,火災の焼失状況とUAVによる焼失範囲の記録を紹介することを目的とする。そして河川敷の火災に関する地理学的な研究の可能性について若干の展望を提示する。対象とした火災は2023年5月18日,同年の初めての「真夏日」を観測した日に熊谷市荒川河川敷右岸で発生し,人的被害は確認されなかったものである。この火災で,低水敷を中心に草地が焼失した。その結果,当日の気象条件と,生育する草本類の種類や状態といった植生の土地被覆状況が,延焼の広狭に影響を与えていたと考えられる。とくに焼失したオニウシノケグサやシナダレスズメガヤ,アブラナは,いずれも日本の河川敷で広くみられる植物種であった。
2010年代以降のクラフトビールブームを受けて,日本でも各地に新たな醸造所が誕生している。地元産原材料の使用や地域の観光振興,交流の場づくりといった諸側面で,クラフトビールと地域との関わりが注目されている。しかしその豊富な個別事例に対して,全体的な傾向や特徴を俯瞰しうる統計的なデータは限られている。そこで筆者は2024年12月に全国のクラフトビール醸造所に対する悉皆調査を実施し,幅広い項目についての回答データを収集した(n = 280)。本資料ではその調査概要を記録するとともに,単純集計の結果を報告し,データの利用可能性を提示する。
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