季刊地理学
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編集委員長からのお知らせ
論説
  • ─地域労働市場論の発展的継承のために─
    中澤 高志
    原稿種別: 論説
    2026 年78 巻1 号 p. 3-25
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/25
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    電子付録

    本稿は,地域労働市場論の研究蓄積を新たな方法論的視座から再解釈し,農村工業化を資本の論理と農村の論理が調和した時空間として捉える試みである。地域労働市場は,農家労働力を主たる給源とし,全国労働市場と異なる特殊性をもつ労働市場として理解されてきたが,現在では分析概念としての有用性が低下している。本稿では,アンリ・ルフェーブルの「リズム分析」を援用し,農村工業化の時期において農業の循環的リズムと工場の直線的リズムが折り合っていたことを明らかにした。その状況の下で,山形県最上地域では,三世代同居による世代間役割分業によって農業所得と農外就業を持ち寄る多就業構造が実現され,兼業農家が世代を再生産することが可能になっていた。しかし,1990年代以降,農外就業機会の変質と農業の衰退により,兼業農家の多就業構造は解体され,地方圏の衰退が進行している。本稿は,資本の他律的リズムに対抗する自律的リズムの重要性を提起し,雇用によらない生活の可能性を模索する方向性を示唆している。

展望
  • ─社会学,人類学に地理学を加えて─
    杉浦 直
    原稿種別: 展望
    2026 年78 巻1 号 p. 26-45
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/25
    ジャーナル フリー HTML

    本論文は,社会学,人類学及び地理学におけるオーセンティシティ論の展開とその成果の学際的な展望(レビュー)を試みたものである。オーセンティシティ概念は,1970年代頃から社会学におけるツーリズム研究に導入され,そこでは最初,対象に付着した本質主義的理解が主であったが,次第に構築主義的立場が強調されるようになり,またハイデガーへの回帰を意識した実存的オーセンティシティ概念の議論も試みられるようになった。地理学における展開は,早い時期のレルフの著作を除いて社会学におけるツーリズム研究の影響の下に展開し,そこでは,ランドスケープの性質のオーセンティシティ評価や具体的な地理的「場」におけるオーセンティシティの構築過程に目が向けられた。文献群から描かれるこの概念は,経験のオーセンティシティと設定(場所)のそれ,本質性と構築性,個人的と間主観的などの二元的な対立をもついくつかの次元をもち,明確な定義は難しいが,本稿ではワン(Wang, 1999)の議論を参照して可能な概念類型を示唆した。地理学の参入は,この議論に多様な空間的次元を加えるとともに,地理学自体にも地理的過程の構築性,地域文化の本質を構成する多様な側面の考究への道を開いてきた。

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