季刊地理学
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論説
  • ── 東北地方の被災県に着目して──
    山田 浩久
    原稿種別: 論説
    2020 年 72 巻 2 号 p. 71-90
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/24
    ジャーナル フリー

     本研究では,東日本大震災における東北地方の被災県を対象に,被災地で生じた居住地移動の類型化を通して,被災地の居住地移動と市街地再編との関係を明らかにした。分析の結果,被災地特有の特徴を示す居住地移動は,「新市街地対応型」,「自主探索型」,「疎開型」とそれらの「複合型」に類型化された。「新市街地対応型」は,主に被災市町村内で行われる短期,短距離の移動であり,行政の市街地再編計画に被災者の移動が取り込まれていくことになるが,「自主探索策型」は被災者が個々に域外に流出するため,人口が流出した市町村よりも流入先の市町村における市街地再編計画に,より大きな影響を及ぼす。一方,原発事故等に起因する「疎開型」は,健康被害に対する懸念や長期の避難生活がもたらす帰還意識の低下や市街地の物理的荒廃が住民の大幅減につながり,市街地再編計画の実施自体が危ぶまれている。また,上記移動パターンの特徴を併せ持った「複合型」は,今後の動向を把握しにくい移動であり,市街地の再編計画の細やかな修正が求められていくものと考えられる。いずれにおいても,安心を手に入れることが出来ないでいる被災者の不安を解消し,できるだけ早期に被災による居住地移動を完結させることが,被災地における市街地再編の条件になる。

研究ノート
  • 神田 兵庫, 磯田 弦, 中谷 友樹
    原稿種別: 研究ノート
    2020 年 72 巻 2 号 p. 91-106
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/24
    ジャーナル フリー

     本稿では,1980年から2015年における市町村別人口および1kmメッシュ人口から,日本の大都市雇用圏がこれまでに経験した都市構造の変遷を把握した。その結果,日本の都市圏の多くは,クラッセンの都市サイクルモデルの想定とは異なり,いわゆる人口が増加した都市化や郊外化の段階を経験した後,都市圏全体として人口が減少する局面を迎えると,中心部の人口の割合が相対的に上昇する集中化(中心化)傾向を示すことが明らかとなった。また,人口減少局面においては,都市構造の遷移は小規模な都市圏の傾向を中規模以上の都市圏が追随する傾向にある。

  • 佐川 大輔, 中谷 友樹
    原稿種別: 研究ノート
    2020 年 72 巻 2 号 p. 107-121
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/24
    ジャーナル フリー

     道路網の整備による自動車交通へのシフトや人口減少を背景とした利用者数の減少等により,鉄道路線の廃止が地方を中心に継続して生じている。現存する鉄道路線においても,鉄道事業者から廃止を提案されている事例が存在するなど,この先,維持が困難となる鉄道路線の数は増えていくものと考えられる。こうした鉄道廃止の提案に対し,「鉄道が無くなると街が寂れる」という意見が挙げられることもあるが,この考えを否定する意見もまた存在する。

     本研究は,鉄道路線の廃止が鉄道沿線自治体の人口と所得水準に及ぼす影響を,パネルデータ解析のための回帰分析を用いて明らかにした。鉄道沿線自治体の廃線以前の状況を考慮する統計モデルを使用した分析の結果,先行研究で指摘されている鉄道の廃止が起こった地域で観察される高い人口減少率は,廃線以前からの状況を反映しているものであり鉄道の廃止によって引き起こされたものとは判断し難いことが示唆された。また,鉄道の廃止が所得変化率に及ぼす影響についても,廃止路線沿線と現存路線沿線の自治体間で統計学的に有意な違いは認められなかった。

短報
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