漁場の持続的な利用・保全をめぐる方策は,コモンズ研究という研究領域で政策研究や生態学を学問的バックグラウンドとする研究者を中心として取り組まれてきた。地理学においても,コモンズ研究を意識した漁場利用に関する研究が蓄積されつつあるが,議論の共有は十分でない。本稿では,水産資源をめぐる諸課題のうち,とくに漁場利用をめぐる主体間関係を読み解く枠組みとして使用される社会ネットワーク,社会関係資本,「スケール」に関する研究動向を整理することで,地理学的にどのような方法論が可能となるのかを展望し,方向性を提示した