東北地方,栗駒火山の北麓に発達する剣岳地すべり地A~Cは,栗駒火山の最新期のマグマ噴火で生じた剣岳溶岩円頂丘(約8.1~6.4 cal ka)の崩壊により形成されたが,その形成年代については不明である。本稿では,主に地すべり地内の湿地堆積物や被覆層から得られたテフラや14C年代に基づき,これらの上限年代の制約を試みた。その結果,剣岳地すべり地Aは約5.3 cal ka以前,同Bは約3.6 cal ka以前,同Cは十和田aテフラの降下(西暦915年)以前にそれぞれ形成されたことが明らかになった。剣岳溶岩円頂丘は形成から約2,800年以内に崩壊した。