抄録
本研究の目的は, 韓国の人口減少率の異なる3つの村落を対象として, 第一に人口減少率の異なる地域の人口構造の特徴を明らかにすること, 第二に人口減少の主要因である都市への人口流出のメカニズムを明らかにすることである。人口移動が家族構成に与える影響をみると, 家族人員数や世代数の減少と老年化が明らかであり, 人口の激減地域ほどその傾向が強い。また人口激減農村の場合, 再生産期人口の流出とそれに伴う自然増加率の減少により, 廃村化の可能性もある。人口移動の形態をみると, 移動距離の最小化, 階段的移動, 年齢選択性の傾向が強くみられる。また, 挙家離村型よりも家族員の一部の移動, つまり家族構成員によるチェーン・マイグレーション型の移動が一般的に行われる。