東北地理
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東北地方における高齢化の地域的特徴
桑島 勝雄
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1989 年 41 巻 2 号 p. 120-127

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抄録

近年における日本の老年人口の増加は著しい。そして, 一般に, 西日本の方が東日本より高齢化率は高いといわれるている。つまり, 西高東低型である。しかし, ここ10年間 (1975-1985) には, 東北地方全体の老年人口比率は, 年々増加して, 全国平均を上回ってきている。このような地域的傾向において, 筆者は, 市町村別老年人口比率の地域的分布をベースとして, そこに見出されるいくつかの地理的事象の分析を試みた。その結果を要約すると, 次の通りである。
1) 東北地方では, 特に, 1970年代以後, 市町村単位でみると, 老年人口比率において高率を示す町村が著しく増加している。
2) これらの町村の殆どは, 各県の山間部に位置している。
3) 老年人口比率と人口増加率との間に, 負の相関関係が介在している。
4) また, 人口の自然増加率, 社会増加率, 人口密度, 核家族化率, 農家率も老年人口比率の増減に影響を与えている。これらは, 福島県の核家族化率, 農家率を除いて, いずれも老年人口比率と負の相関関係を有している。

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