季刊地理学
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冬型気圧配置の形成・解消過程における中部日本の局地気圧系の変化
仁科 淳司
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1997 年 49 巻 4 号 p. 286-295

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抄録

近年入手可能になった地上気圧の時別値データを用いて, 冬型気圧配置の形成・解消過程における中部日本の局地気圧系の変化を, 1991年1月18日~21日を例に明らかにした。総観場の気圧の谷が通過した後, 18日の9時には中部山岳の南東側に局地的な低圧部が形成され, その中に局地低気圧が発生, 発達した。また18時には北西側に局地的な高圧部が形成され, その中に局地高気圧が発生, 発達した。19日と20日の局地天気図からは, 冬季中部日本に発生することが知られている高山高気圧は明け方に最も発達すること, また昼間は逆に局地低気圧が発生し, 15時ごろ最も発達することなど, 今までの局地天気図のみでは得られないことも判明した。このような変化は, 局地気圧系の発生, 発達が単純に地面の加熱, 冷却だけでは説明できないこと ―すなわち, たとえば地面の加熱があっても, 局地低気圧が直ちに発生, 発達するわけではないこと― なども示した。

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