抄録
本稿では, 東北地方における水田転作の対応方式とこれを規定する地域の農業生産構造との関連について, 正準相関分析を用いて分析を試みた。
正準得点に固有値をかけて重み付けを行い, 市町村の類型化をした結果, 8タイプに分けることができた。(1) 果樹作地帯の果樹作拡大, 強化指向型, (2) 肉牛, 乳牛飼育地帯の飼料作物対応型, (3) 水稲作への執着が強い水田地帯の他用途利用米対応型, (4) 専業農家率が高い畑作地帯の永年性作物対応型, (5) 大規加模水稲作地帯の集団転作及び麦対応型, (6) 小規模水稲作地帯の個別転作対応型, (7) 市部及びその周辺の野菜産地の野菜作強化, 管理預託対応型, (8) 野菜に重点があるものの転作野菜率が低い管理預託対応型。
転作に対する取り組みが, 地域に適した作物, 転作対応方式を選定しようとする姿勢が表れている。