季刊地理学
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山地住民の空間認識と環境利用
東京都奥多摩町日原を事例に
中〓 由佳里
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2004 年 56 巻 3 号 p. 129-145

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抄録

環境はその地域の文化に直接的, 間接的な影響を及ぼし, 同時に生業の成立を決定する重要な要因となる。単一の生業では生存し得ない環境条件の厳しい地域では, 住民は複数の生業を組み合わせることによって不足分を補い, 独自の複合的な生業を形成させ継承してきた。また, 生業と地域の文化とは相互に影響し合いながら成立している。この生業と文化の関わりを基盤として住民の空聞認識が形成される。住民とは, 生活空間を日常の活動範囲によって理解し, 区分し, 意識的に土地分類を行い, 土地分類に従った空間認識を作り上げるものであると考える。
本論文では, 東京都奥多摩町日原を事例として,「ブラク」「ミノト」「サワ」「ウエノヤマ」「ムコウヤマ」という土地分類呼称に表れる住民の空間認識を, 複合化された生業と年中行事や自然崇拝などの地域の文化との関係において模式化した。この模式化の汎用性については, 今後海外を含めた諸地域での認証を必要としよう。

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