季刊地理学
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夏季静穏日における東京都区部の局地気圧系の日変化
仁科 淳司三上 岳彦
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2008 年 60 巻 3 号 p. 121-130

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抄録

東京都と旧東京都立大学によって整備された METROS (Metropolitan Environrnental Temperature and Rainfall Observation System) のデータを用いて, 夏季静穏日における東京都区部の局地気圧系の日変化を検討した。その結果, 1) ほぼ1日を通して東京都区部北部や南部の一部で海面更正気圧が低く, 東部と西部は高いという空間分布パターンが見られること, 2) 東京都区部の内部における海面更正気圧の差は, 夜間から朝では最大約0.8hPa, 日中から夜では最大約1.3hPaと見積もられること, 3) 日中では, 地上気圧低下量は午前中は郊外の方が大きく, 午後は都心の方が大きいこと, 4) 日没後は, まず都心の方が地上気圧の上昇量は大きく, 次いで郊外の方が上昇量が大きくなること, 5) 人工的な排熱や蒸発の抑制に起因する余剰熱量の日変化の他に, 東京都区部の気圧の日変化をもたらす要因として, 全球的な太陽半日潮汐や, より大きなスケールを持つ中部山岳地域の局地低気圧の発生もあること, などが明らかになった。

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