抄録
適切な医療の遂行には,正確で精度が高く施設間のばらつきのない安定した検査データが不可欠である。病院内臨床検査室や衛生検査所では高い検査精度を保つために内部精度管理や外部精度管理が実施されている。天理よろづ相談所病院の臨床検査室では,正確性の伝達の確保・保証(標準化),Xbar-Rs-R管理図法を用いた測定系の管理,患者個人における測定値の管理などを通して検査精度の向上に努めてきた。また検査情報室の設置などを通して,分析時の精度管理だけでなく検体採取から検査報告までを含めた総合的精度保証にも取り組んでいる。本稿では精度管理の実際と現場での工夫について報告し,最後に外部精度管理の現状についても紹介する。