抄録
【目的】
本研究の目的は,看護師国家試験総得点と模試総得点および学習動機づけ,自己調整学習方略,学習行動との関係を明らかにすることとした。
【方法】
第111回看護師国家試験を受けたA大学4年生に自記式アンケート調査を実施した。計4回の模試総得点と学習動機づけ尺度14項目,自己調整学習方略尺度18項目,学習行動12項目を調査し,国家試験総得点で比較した。
【結果】
分析対象は41名(高得点群30名,低得点群11名)。高得点群と低得点群ともに模試1回目~4回目の得点は上昇傾向にあった。高得点群と低得点群を比較した結果,学習動機づけにおいては,「希望する職業に必要だから」などの5項目で高得点群の方が有意に高く,「親がうるさいから」のみ低得点群の方が有意に高かった。自己調整学習方略においては,「何を求められているのか考えてから課題をやる」などの3項目で高得点群の方が有意に高かった。学習行動においては,「アプリや書籍で過去問題を解いた」は高得点群の方が有意に高く,11月の学習時間,動画視聴,予備校活用は低得点群の方が有意に高かった。
【結論】
模試1回目から4回目の総得点は両群ともに上昇していた。また,国家試験総得点と学習動機づけ,自己調整学習方略,学習行動との関係が示された。今後は,国家試験合格だけを目標にするのではなく職業的価値を意識付けて学習の意義を明確に自覚させる関わりが必要と考える。