2023 年 39 巻 4 号 p. 33-41
中心軸中央に4点式熱電対温度センサーを刺入配置させた筋肉等価ファントムを上下よりオーバーレイボーラスで挟み,直径30 cm大の電極をさらに上下より挟みこませた状態で,サーモトロン-RF8の温熱治療台上にて加温した.上下のオーバーレイボーラス内に,0 ml,150 mlまたは300 mlの空気を注入させたのちに加温を開始した.
その結果,1)オーバーレイボーラス内への空気混入がない際には,加温時の出力が大きいほど,加温効率が高く,2)オーバーレイボーラス内への空気混入量が多いほど,加温効率が低下し,出力が大きいほどこの低下がより顕著になり,3)加温時出力が大きいほど,オーバーレイボーラス内への空気混入量が多いほど,多点温度計から得られた各温度測定値のばらつきが大きくなるという傾向が認められた.
以上より,温熱治療日の始業前点検時には,加温効率の低下を防ぎ,標的病変部を均一に加温するためにも,オーバーレイボーラス内へ混入した空気を除去するべきである.