日本ハイパーサーミア学会誌
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LIECH療法 : 抗癌剤とエピネフリンの局所投与を併用した温熱療法
大泉 幸雄
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1995 年 11 巻 1 号 p. 34-41

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抄録

LIECH療法 (Local injection of epinephrine and chemotherapeutic agent combined with hyperthermia) は, 抗癌剤・エピネフリンの局所投与と温熱を併用した療法である.ブレオマイシンやシスプラチンなどの抗癌剤の腫瘍内投与は, 癌細胞に直接作用するばかりでなく, 温熱の効果も増強する.さらに, エピネフリンの局所投与による血管収縮作用が, 温熱ならびに抗癌剤の効果を著しく増感作用させる.そして, これら三者併用により非常に高い効果が得られる.
この特徴は,
(1) 高い抗腫瘍効果,
(2) 比較的低温 (40℃) でも高い増強効果比,
(3) 冷却効果の低減による容易な加温の可能性,
(4) 抗癌剤の使用量が少なくて済むこと,
(5) 血流の回復があり, 放射線効果の妨げにならない等の多くの利点がある.
臨床応用を念頭に, 我々の12例の臨床経験も混じえて, この療法について述べた.メカニズムについては, 十分にはわかっていないが, この療法の利点を利用し, いろいろな疾患や温熱療法に併用され, 局所腫瘍の制御に役立つことを切に望む.

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