日本ハイパーサーミア学会誌
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口腔癌に対するImplant Heating System (IHS) を用いた温熱化学療法の効果と適応
藤内 祝林 康司上田 実小林 達也松井 正顯
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1995 年 11 巻 1 号 p. 76-85

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抄録

口腔癌に対する磁場誘導組織内加温法 (Implant Heating System : IHS) を用いた温熱化学療法の効果とその適応について報告した.IHSは低キュリー温度の発熱磁性体針 (インプラント針), 誘導コイルと高周波発信機の三つの部分から成っている.高周波発信機は最大出力が2.5kw, 発熱磁性体針は68℃のキュリー温度であり, 鉄-白金の合金から成っている.
15例の口腔癌一次症例が温熱化学療法で治療され, 化学療法は原則としてcisplatin 100mg, peplomycin 25mgの動注法とした.この内9例は術前温熱化学療法であり, 治療結果は8例がCRで1例がPRであった.術後の摘出物の病理組織学的検討では8例に腫瘍細胞の残存は認めなかった.6例は温熱化学療法のみの治療である.6例ともCRが得られたが, 1例のみに治療後3か月後に再発を認めた.
以上より, T2, T3の舌癌, 口底癌はIHSを用いた温熱化学療法の適応と考えられるが, 硬口蓋癌や歯肉癌では骨と隣接するため適応ではないと思われた.

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