日本ハイパーサーミア学会誌
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消化器系悪性腫瘍の緩和のための温熱化学療法の臨床的評価
宮崎 知濱路 政靖坂口 寛正
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1998 年 14 巻 1 号 p. 23-30

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抄録
4回以上の温熱化学療法を施行し得た消化器癌の再発ならび非切除癌41例を対象とし加温病変毎 (肝病変16例、膵病変12例、腹腔内リンパ節病変10例、骨盤内病変3例) の抗腫瘍効果を検討した。さらに著効例の臨床経過から得られた温熱療法の至適回数や休止期間の抗腫瘍効果に及ぼす影響に関して若干の検討を行った。
加温部位毎の奏効率は肝病変31%、膵病変25%、腹腔リンパ節病変10%、骨盤内病変33%であり病変毎の奏効率に差を認めた。腫瘍マーカーが治療前値の50%未満に減少した症例は肝病変38%、膵病変42%、腹腔リンパ節病変20%、骨盤病変66%であった。臨床所見からは癌性疼痛などの臨床症状が肝病変63%、膵病変75%、腹腔リンパ節病変70%、骨盤内病変66%の高率で臨床症状は改善した。
温熱化学療法が著効を示した症例においても長期間の休止後の再施行時では温熱療法による抗腫瘍効果は乏しかったことにより温熱療法の施行は可能な限り継続治療が望ましいと考えられる。
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