1999 年 15 巻 4 号 p. 187-193
我々は体外循環血液加温法による全身ハイパーサーミア (WBH) をより非侵襲的に改善した遠赤外線による体外照射加温法を進行癌患者を対象に施行している.WBHは41.8℃, 60~90分間の治療が一般的であったが, 近年, 40~41℃位の生理的な温度域で長時間加温 (Mild hyperthermia) の効果が注目されている.我々も, この理論に関心があり, その為に最適な全身加温法の検討を行っている.今回, 我々が通常施行している遠赤外線加温と, 検討中の近赤外線加温との比較を行った.結果, 近赤外線加温は遠赤外線と比べ, 必要麻酔量が1/2~1/3で且つ循環器系への負担も少なかった.今後, 近赤外線加温法はWhole body mild hyperthermiaの治療法の確立の上で重要な加温法であると思われた.