日本ハイパーサーミア学会誌
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高齢者悪性神経膠腫に対するRF組織内ハイパーサーミア : 2著効例
高橋 英明田中 隆一宇塚 岳夫近 貴志青木 洋遠藤 深狩野 瑞穂グリニョフ・ イゴーリ
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2002 年 18 巻 3 号 p. 157-164

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抄録

腫瘍の局在から摘出術が行えなかった悪性神経膠腫に対して温熱放射線治療が有効であった高齢者の2症例を報告した.症例1は, 76歳男性.左前頭葉の膠芽腫で, 右片麻痺を呈していた.治療前の頭部造影CTスキャンでは, 不整形の増強効果の認められる腫瘍が左運動領直下の白質に存在していた.局所麻酔下に定位的生検術を行うと同時に温熱治療用の2本のRFアンテナ (電極) を腫瘍内に挿入, 留置した.4回の組織内加温を10-Mvx線による通常分割の60Gyの外照射とともに3回の組織内加温を行った.治療4ヶ月後の頭部CTスキャンでは造影剤による増強効果部は消失しており, CRと評価された.また, 局所の脳浮腫も認められなくなっていた.症例2は, 82歳男性.左片麻痺にて発症した右被殻部の退形成性星細胞腫の症例である.本症例も症例1と同様な手順で, 通常の60Gyの放射線治療とともに3回の加温を行った.加温後のCTおよびMRIにおいてCRを呈した.また, 加温による脳浮腫も認めなかった.本2症例とも加温前後に合併症を認めなかった.摘出術を施行し得ない悪性神経膠腫に対して温熱放射線治療は, 高齢者でさえも容易に適応し得るものであり, 腫瘍縮小効果についても有効であると考えられた.

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