東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P058
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高校サッカー競技におけるトレーナー活動の報告(第2報)
*正司 守生矢野 昌充吉本 真樹狩山 信生江村 匠史牧野 弘昇
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抄録


【はじめに】
 現在、石川県サッカー協会が平成17年度より設置したトレーナー部会には9名の理学療法士(以下PT)が所属している。そこで我々は、設置年度の石川県高等学校サッカー新人大会から、傷害予防及びコンディショニング支援などを中心に医師の指示の元でトレーナー業務を実施してきた。
 今回、平成19年度の活動内容と選手への対応内容や実施箇所、時期などに関するアンケート調査をまとめたので報告する。
【方法】
 対象は同大会ベスト8以上の8チームの内、希望した延べ41名であり、活動試合数は7試合であった。トレーナー数はPT6名であり、両日ともに4名の配置とした。
 調査内容は、1)実施箇所、2)その内容、3)実施時期等であり、方法は無記名選択式とした。
【結果】
 1)対象者への実施箇所は大腿部、下腿部、全体的がそれぞれ全体の17.8%、膝周囲と足部(足関節含む)が15.6%、腰背部が13.3%など、2)実施内容については、テーピングが13件、マッサージが32件、コンディション伝達が3件など、3)実施時期は、試合前14件、試合間3件、試合後23件であった。
【考察】
 今回のアンケート調査から、利用人数は延べ41名と平成17年度の19名と比較すると増加しており、トレーナー業務を必要とする意識が徐々に浸透し、高まっていると考えた。
 実施時期は、複数試合予定チームの試合後のリコンディショニング時に多かった。
 実施箇所、実施内容についてはサッカーという競技ゆえに下肢への疲労感などに対してのマッサージや試合直前のテーピング処方が多かった。‹BR›これらの事から、チーム・選手は直前の試合結果への効果のみを期待し、トレーナーを利用するといった傾向が見受けられ、選手達が試合以外で意識的に傷害予防に取り組んでいるとは言い難い。しかし、パフォーマンス能力を高い位置で維持するために、コンディショニングやリコンディショニングなど、普段からの自己管理能力がいかに必要であるかを示すことはできたと考える。
 競技レベルの選手にとっては、試合においていかに最大限にパフォーマンス能力を発揮するかが重要となり、その一助としてトレーナーが存在すべきと考える。そのためにトレーナーは、選手の様々な要望に対し、短時間で的確かつ即効性のある治療手技を選択し、施行するといった迅速な対応をしなければならないと考えている。さらにそれが選手とトレーナー間の信頼関係を築き、選手がトレーナーを必要と感じる事で、今後更に効果的な啓発活動ができるのではないかと考えた。また、PTがトレーナーとして選手やチームに選ばれるためには、単にトレーナー業務のみならずメディカルサポーターとしての業務も担っていく必要があるのではないかと考える。
 今後更にPTがトレーナー業務の一躍を担っていくためには、このような大会での活動を今後も継続的に実施していく必要があると考える。

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© 2008 東海北陸理学療法学術大会
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