東海北陸理学療法学術大会誌
第26回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-10
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脳卒中片麻痺患者における排泄動作の遂行時間とバランス能力の関係
*河村 樹里岩田 研二木庭 翠倉田 昌幸古田 大貴山崎 年弘渡邉 佐知子木村 圭佑坂本 己津恵櫻井 宏明松本 隆史
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抄録

【目的】 今回我々は下衣操作の動作遂行時間の速さとバランス能力の関連性について検討したので報告する.
【対象】 対象は当院通所リハを利用しており,排泄動作が自立している脳卒中片麻痺患者19名(平均年齢72.7±7.7歳).下肢Brunnstrom stageは3:5名,4:9名,5:5名である.今回,動作遂行時間の最速値の3倍値であった27秒を境界とし,27秒未満の14名をA群,27秒以上の5名をB群とした.
【方法】 計測には,アニマ社製重心動揺計G620を用いた.測定項目は,(1)静止立位での30秒間の総軌跡長,(2) 麻痺側最大荷重率,(3) 非麻痺側最大荷重率,(4)下衣操作中の重心動揺(単位軌跡長,外周面積,X方向最大振幅,Y方向最大振幅),(5)60秒間のCross test(矩形面積,X方向最大振幅,Y方向最大振幅),(6)下衣操作の持ち替え回数(合計/麻痺側/非麻痺側),(7)10m最大歩行時間,(8)Functional Reach Test(以下:FRT)とした.両群間の比較にはt検定,Mann-whitneyのU検定を用い,有意水準5%未満とした.
【結果と考察】 両群間において,静止立位での総軌跡長(p=0.012),麻痺側最大荷重率(p=0.016), 下衣操作中の単位軌跡長(p=0.033),Cross testの矩形面積(p=0.042)持ち替え回数(合計p=0.020,麻痺側p=0.031,非麻痺側p=0.020),10m最大歩行時間(p=0.007),FRT(p=0.003)に有意差を認めた.結果より下衣操作の時間短縮には,麻痺側への荷重能力,股関節戦略優位での前後方向のバランス能力,一側下肢に乗せた重心を反対側に素早く切り替える能力などが重要であることが示唆された.今後は,下衣操作中の運動戦略をstage別に検討していく.

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© 2010 東海北陸理学療法学術大会
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