東海北陸理学療法学術大会誌
第26回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-30
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両側下腿外傷後に両足部浮腫を合併した一症例を経験して
*高田 美津雄沼田 秀人菱田 実塚本 彰糸川 秀人長谷田 泰男
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抄録

【はじめに】局所性浮腫の成因は、一般的に静脈系やリンパ系等の末梢循環障害とされている。今回、左下腿部は手術侵襲に、右下腿部は外傷による軟部組織損傷に足部浮腫を合併した症例を経験し、左右異なる病変に伴う浮腫の改善経過について、足部周径を指標に、比較、検討した。
【症例紹介】46歳、男性。2010年1月26日、外傷により左脛骨内果骨折、腓骨骨折、右下腿挫滅症、右下腿皮膚欠損症を受傷。同年2月10日、左脛骨内果、左腓骨接合術施行。術後、左下肢は腓骨神経麻痺の合併症も認めていた。同年2月25日、右下腿部植皮術を施行。右下腿挫滅創は下腿三頭筋膜まで達しており、軽度の筋挫滅もみられていた。
【経過と理学療法】受傷後3週より理学療法開始。開始時は右下腿部シーネ固定中であり、左足関節の可動域練習より行った。なお左下肢は術後4週免荷であった。受傷後4週より両足部に浮腫を認めていた。受傷後5週より右足関節可動域練習と右下肢荷重練習を開始。受傷後6週より左下肢の部分荷重許可あり、松葉杖歩行を開始した。受傷後9週より下腿から足部の循環を促すため、温熱療法を開始し、運動療法と併用して行った。
【足部周径計測方法】今回、足部周径計測には、臨床上比較的容易で信頼性が高いとされているfigure-of-eight法(以下、FOE)を使用した。
【結果と考察】本症例におけるFOE値は受傷後4週で右55.5cm、左53.5cmを示しており、初期より右足部に強い浮腫を認めていた。受傷後7週において、FOE値は右54.0cm、左51.0cmと右足部浮腫改善に遅延を認めていた。受傷後11週において、FOE値は右52.5cm、左50.0cmと左足部はほぼ浮腫を認めない状態まで改善していたが、右足部は軽度の浮腫を認めていた。本症例は荷重開始時期等に差はあるが、両下肢ともにほぼ同様の理学療法を実施していた。しかし、右足部の浮腫改善が遅延しており、下腿軟部組織損傷が足部浮腫要因の1つであると考えられた。

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© 2010 東海北陸理学療法学術大会
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