東海北陸理学療法学術大会誌
第26回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-48
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化膿性股関節炎後のTHAの治療経験
筋力と歩行の再獲得について
*藤間 尚人尾畑 雅夫松崎 太郎米澤 幸平加畑 多文
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キーワード: 化膿性股関節炎, 筋力, 歩行
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抄録

【はじめに】今回、幼少期に化膿性股関節炎を呈し、著明な脚長差、筋力低下のため、右人工股関節全置換術(THA)施行、その後、脱臼も伴い、筋力、歩行再獲得に難渋した症例を評価、治療する機会を得たので以下に報告する。
【症例紹介】81歳。女性。現病歴:幼少期に化膿性股関節炎により右大腿骨頭が消失し、殿筋内脱臼していた。右大腿骨小転子が骨頭様に変形し二次臼を形成、原臼は著しく低形成で、右大腿骨は細くなっていた。そのため、脚長差、右股関節周囲筋の筋力低下による跛行が著明であった。これに対し、平成22年1月にA病院にて右THA施行。術後6日目に脱臼し、整復した。以後外転装具装着となり、術後59日目に当院へ転院となった。
【初期評価】術前評価:ADL自立。歩行はT字杖自立。脚長差約7cm(右<左)。徒手筋力テスト(MMT):右股関節周囲筋2~3。転院時初期評価:ADLは車椅子にてほぼ自立。浴槽移乗全介助。脚長差約4cm(右<左)。MMT:右股関節周囲筋筋力2~3。自動下肢伸展挙上(SLR)術側不可。疼痛は安静時、運動時、荷重時に術部周辺に認められ、特に運動時に強い痛みを訴えた。術側での全荷重は不可能で、体重55kgに対して、最大荷重30kgで発痛した。尚、上記の評価は全て外転装具装着にて行った。
【治療経過】治療は自動SLR獲得、歩行獲得を目標に、右大腿四頭筋への筋再教育訓練、右股関節周囲筋への筋力強化、歩行訓練を中心に行った。術後61日目:自動SLRわずかにみられる。術後94日目:病棟にて歩行器歩行自立。T字杖歩行訓練開始。術後97日目:自動SLR10°。術後99日目:理学療法時のみ外転装具除去。術後103日目:外転装具除去。術後104日目:自動SLR15°。術後131日目:T字杖歩行自立にて退院。
【考察・まとめ】SLR運動は退院時の歩行レベルに影響するとある。そのため、今回は自動SLR獲得と歩行獲得に特に注目して治療を行った。結果として、自動SLRが獲得されるとともに、T字杖歩行自立が可能となった。

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