東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-18
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東濃地方の小児に対する訪問リハビリテーションの現状について
*加藤 寛之
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抄録


 東濃地方の小児に対する訪問リハビリテーションの現状について
 【目的】 平成23年4月の理学療法士協会の会員分布によると、小児に対するリハビリの分野で働く理学療法士は全体の19.5%となっている。全体に対する割合こそ小さいが当分野への関わりは日本が直面する少子化問題対策の一端を担う重要事項であると考える。当事業所では平成21年の設立時から積極的に小児への訪問リハを提供している。今回、岐阜県東濃エリアにおけるリハ提供状況の確認や、保護者に対する意識調査を行なったうえで、小児訪問リハに対する必要性、事業所展開の妥当性を改めて考察した。
 【方法】 当事業所が関わる小児患者のご家族を対象に、小児への訪問サービスについての意識調査をアンケート形式にて実施した。またインフラ整備が充足されているかどうかの観点から、東濃地区すべての訪問看護ステーションに対する小児へのサービス提供状況を調査した。
 【結果】 ご家族に対する意識調査では、実際にサービスを始めるまで自宅でリハビリを受けられる事を知らなかった方が85.7%と多く、小児患者への訪問リハに対する認知が十分でないことが確認された。また当事業所が所在する岐阜県東濃地区において、小児患者への訪問リハサービスを提供している訪問看護事業所の割合は44.4%であった。(全18事業所中8か所)
 【考察】 平成24年度の中医協調査資料によると、全国の小児(0~9歳)におけるサービス利用者数の推移は、平成13年の842名が、平成21年では2,928名と3.48倍の増加を示しており、この分野での社会的ニーズの高まりが重要な背景にあると考えられる。またこうしたサービスを必要とする者の多様化への対応として、国が「複数名の訪問看護加算」や「長時間訪問看護加算」などの算定要件の見直しを行なったことからも、在宅支援としての訪問リハが担う役割は大きくなってきていることがうかがえる。今回の調査では、当施設所在地域における小児への訪問リハを提供し得る事業所数は8カ所であったが、『岐阜地域の公衆衛生2011』によると、同地域の障害児数(身障手帳1・2級保持の18歳以下の方)は109人と報告されており、訪問看護ステーションの利用者数の推移、規模別状況、訪問可能なエリアの問題を考慮しても、ニーズに見合うだけのサービス提供基盤は決して十分ではないことが確認された。これに加え、小児訪問リハに対する一般的な認知度が低いという事実も考慮すると、この分野での市場開拓の余地は十分に見られ、新たなビジネスチャンスを生む可能性も秘めていると思われた。今後、小児への訪問リハという事業形態を確立するためには、提供サービスの質をどのように担保するのかが重要であるため、地域の特別支援学校や保育園、医療機関との連携を強め、保護者への説明を含めた積極的な告知活動などを行なっていく必要がある。
 【まとめ】 今調査で、小児訪問リハに対する認知度や、社会資源としての充足度が低いことが確認された。今後我々には増加するニーズに対応するための様々な活動が求められる。

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