東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-19
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一般口述
腱板修復術の治療成績 ―機能と健康関連QOLに着目して―
*水谷 仁一大家 紫川本 友也筒井 求伊藤 岳史花村 浩克岩堀 祐介
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抄録

【目的】 腱板断裂に対する腱板修復術(RCR)の治療成績は多数報告されている。一般に治療成績の指標として、JOAscore(JOA)やUCLA Shoulder rating scale(UCLA)などが用いられているが、これらは肩関節の主に機能面を評価しており、Quality of life(QOL)の評価は含まれていない。
 今回、RCRを施行した症例に対し、復職の目安である術後6ヶ月においての、機能およびQOLの評価を試みたので報告する。
【方法】 対象は、2009年4月から2012年11月までの間に当院でRCRを施行した106例のうち、6ヶ月以上経過し、機能とQOLの評価が可能であった20名20肩(男性15肩、女性5肩)である。手術時平均年齢は60.9±9.59歳であった。断裂サイズは術中鏡視所見から分類し、小断裂6肩、中断裂7肩、大断裂6肩、広範囲断裂1肩であった。手術は鏡視下修復術が16肩、直視下修復術が4肩で、追加処置は、上腕二頭筋長頭腱(LHB)固定3肩、LHB切離2肩、授動術1肩、鏡視下Bankart修復術1肩、SLAP修復術1肩であった。方法は術前と術後6ヶ月時に、機能評価としてJOA, VAS(安静時・夜間時・動作時)とROM-T(屈曲、外転、下垂位外旋・内旋、外転位外旋・内旋、屈曲位内旋、背面内旋)、肩関節筋力(外転筋、外旋筋、内旋筋)を測定した。筋力は3回測定し、最大筋力を分析対象とした。さらに、QOL評価としてShort-form36(SF36)ver2を用い、8つの下位尺度(身体機能、日常役割機能、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常生活機能、心の健康)を分析した。検討は、上記評価項目に対し、術前と術後6ヶ月の比較をWilcoxon signed-ranks testで、ROM-Tと筋力は術後6ヶ月の患健側の比較をMann-Whitney U testで分析した。さらに術前と術後6ヶ月のSF36と国民標準値(NBS)の差を確認した。
【結果】 術前と術後6ヶ月の比較は、JOAが総合平均72.7点から82.6点と有意に改善した。VASも安静時が1.3㎝から0.3㎝、夜間時が1.9㎝から0.6㎝、動作時が4.5㎝から1.6㎝とすべて有意に改善した。ROM-T、筋力はすべての項目に有意な改善はみられなかった。SF36では体の痛み(BP)のみ改善傾向(0.06)がみられた。術後6ヶ月の患健側の比較は、ROM-Tが、下垂位内旋以外の方向で有意に患側の可動域低下を認め、筋力は患側の外転筋、外旋筋で有意に低下していた。また、術前と術後6ヶ月のSF36をNBSと比較すると、全尺度において標準値を上回っていた。
【考察】 RCRの治療成績としてJOAやUCLAが用いられており、良好な成績が報告されている。本研究の結果では、術前よりJOA, VASは有意に改善がみられたが、ROM-T、筋力とも健側レベルまでは改善をえられなかった。これは、評価を術後6ヶ月と短期に行ったことが影響していると考えられ、さらに長期での評価や断裂サイズ別の検討が必要である。また、SF36では、術前後の比較において、BPのみ改善傾向がみられ、他の尺度に有意差はみられなかった。これらのことから、復職の目安である術後6ヶ月では疼痛に比し、可動域、筋力は十分に改善がえられず、その結果、SF36にも変化がみられなかった事が考えられた。また、NBSとの比較では術前からNBSを上回っており、RCR症例のQOL評価にSF36が妥当なのか再検討も必要である。

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© 2012 東海北陸理学療法学術大会
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