東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-22
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一般口述
骨形態を考慮した、膝OAに対するアプローチの一例
*西島 晃一
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キーワード: Lateral thrust, 骨形態, 彎曲
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抄録
【目的】 木藤らは、「Lateral thrustは、脛骨の内反・外旋・内側移動の現象と報告されており、脛骨の外側不安定性を制御できずに起こる。」としている。しかし、実際の臨床の場面ではLateral thrustの起こり方は様々であり、両膝に出現していても大きく異なることが多いように感じる。今回、その左右に違いが起こる原因の一つとして、「骨形態」、特に「脛骨の彎曲」に着目し、考察したので以下に報告する。
【方法】 両変形性膝関節症を呈し、歩行時に左は大腿後外側面から殿部にかけての張り感、右は大腿骨内顆の関節面に疼痛を訴える患者様一例の脛骨の形態を検討した。次に、歩行の動画を静止画像で細分化し、どの相のどの部位からLateral thrustが起こっているか確認した。又、ROMなど理学療法評価を行い、その評価結果と骨形態・動作を比較検討した。なお、患者様には今回の発表にあたり口頭で説明し同意を得た。
【結果】 立脚踵骨中間位での客観的な内彎の測定法では、左右とも角度に大きな差はなかった。しかし、同肢位で脛骨の形態をよく観察してみると、右は下腿の外側傾斜が大きく、左は脛骨近位での捻れが大きいように観察された。また、非荷重位での粗面膝蓋溝(膝関節90度屈曲位でのQ角)において、左には大きな増大がみられている。歩行時のLateral thrustは、右では立脚初期から中期前半にかけて下腿を中心に起こり、左では立脚中期前半に大腿骨を中心に起こっていることが確認された。加えて理学療法評価では、両膝関節伸展・屈曲、右股関節屈曲・内旋、内転に可動域制限、両大腿四頭筋、右長腓骨筋・大・中殿筋・腸腰筋、左大腿二頭筋・下腿三頭筋・後脛骨筋に筋力低下がみられた。また、両膝とも外反ストレステスト30度屈曲位で不安定性がみられたが、脛骨を内旋位にすることで不安定性は減少した。アプローチとして、右は下腿の外側傾斜を防ぐ腓骨筋と大腿四頭筋、左は大腿の外側傾斜を防ぐ大腿二頭筋と大腿四頭筋の同時収縮を行った。訓練後、膝関節伸展可動域は改善し、歩行では疼痛の減少とLateral thrustの減少が確認された。
【考察】 症例の膝関節ではLateral thrustが確認された。しかし、その過程は両側とも異なり、可動域や筋力にも差がみられる。右は下腿の傾斜を大腿四頭筋と長腓骨筋、左は大腿骨の傾斜を大腿四頭筋と大腿二頭筋で制動が可能であり、両者ともLateral thrustの減少が確認された。以上の結果を脛骨の形態と比較すると左右ともに形態変化の大きい部分でLateral thrustが観察された。すなわち、右は下腿の傾斜と下腿を中心に起こるLateral thrust、左は下腿近位部の捻れと大腿を中心としたLateral thrustである
【まとめ】 骨形態は応力を反映する。Lateral thrustの起こり方が左右異なるということは、左右にかかる応力が異なるということである。以上から骨形態をもとに理学療法評価を行うことが重要であると考えられ、治療の方向性が見定められることが考えられる。今後は、脛骨の彎曲のみにとらわれないことと、データ解析なども行っていき、より客観性を持たせていきたい。
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© 2012 東海北陸理学療法学術大会
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