Trends in Glycoscience and Glycotechnology
Online ISSN : 1883-2113
Print ISSN : 0915-7352
ISSN-L : 0915-7352
ミニレビュー
1 分子追跡が明らかにした誘導ラフト領域におけるシグナル変換機構
Kenichi G. N. SuzukiAkihiro Kusumi
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 20 巻 116 号 p. 341-351

詳細
抄録
ラフトドメインは,分子が効率的にシグナル伝達を行うために集まり,相互作用するプラットフォームであると提案されている。最近我々は 1 分子追跡実験により,細胞外シグナル分子の結合による受容体刺激後に形成された,グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー型受容体(例えば CD59)のクラスターにより,オンデマンドに形成されるラフトへ,細胞質側のシグナル分子がしばしば,しかし非常に一時的にリクルートされることを明らかにした。今までに調べたすべての細胞質側のシグナル分子,Gαi2, Lyn, PLCγ は,CD59 クラスターラフト内で~200 ミリ秒の短い滞在時間を示していた。各々のシグナル分子のリクルート期間は,これらの分子全体のバルクの活性化期間と比較して 4000 倍も短かった。数千秒以上もの間続くアナログ型のバルクシグナルが,1 秒以下しか続かない短寿命のディジタル式の個々のシグナルの重ね合わせにより生み出されていることについて議論を進めた。
著者関連情報
© 2008 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
前の記事 次の記事
feedback
Top