Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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小角 X 線散乱法による糖鎖分子ナノ構造の解析
Yoshiaki Yuguchi
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2009 年 21 巻 117 号 p. 1-12

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抄録
いくつかの糖鎖の溶液中やゲル中におけるナノレベル構造について小角 X 線散乱法により観察した例について紹介する。海藻より抽出されるカラゲナンは硫酸基を有する電解質多糖類でその水溶液は冷やすとゲルとなる。一般的に 2 重らせん形成によりゲル化するとされている。小角 X 線散乱法よりそれらの会合の様子を観察した。対イオンがカリウム型で約 3 % の κ-カラゲナンの場合,2 重らせん構造が形成されそれらが 2 本並んで会合することによりゲルとなることが分かった。またそれよりも硫酸基を多く有する ι-カラゲナンの場合は 2 重らせん形成のみでゲルとなることが分かった。また位置選択的脱硫酸ヘパリンと繊維芽細胞増殖因子との会合状態を小角 X 線散乱法により観測し,会合に最も必要と考えられるヘパリン鎖中の硫酸基はイズロン酸の 2-O 位であることが分かった。また会合構造は生理活性に大きな影響を与えている可能性が示唆された。さらに環状糖鎖の小角 X 線散乱観測結果例を示した。線状構造に比べてその散乱プロファイルは異なり,特徴的なプロファイルを与えた。また環状糖鎖の包接構造等に対しても散乱挙動の変化をとらえることができた。
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© 2009 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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