Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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分裂酵母Schizosaccharomyces pombe におけるガラクトース特異的な認識システム
Tomohiko MatsuzawaTakao OhashiMai NakaseKen-ichi YoritsuneKaoru Takegawa
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2012 年 24 巻 135 号 p. 24-42

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抄録

分裂酵母Schizosaccharomyces pombeでは、ゴルジ体内腔でガラクトース転移酵素により糖タンパク質のN-およびO-結合型糖鎖にガラクトース残基が転移される。ガラクトース残基は分裂酵母の生育には必須ではないが、タンパク質へのガラクトシル化は細胞形態の維持、性的凝集や各種薬剤に対する抵抗性に重要である。酵母において細胞表層の糖タンパク質は凝集や菌糸状の侵入性増殖に重要な役割を果たす。我々は分裂酵母のgsf2+遺伝子が細胞表層複合糖質のガラクトース残基と結合する凝集素をコードしていることを見いだした。分裂酵母の非性的凝集や侵入性増殖はgsf2+遺伝子の発現により厳密にコントロールされている。またガラクトース残基のピルビン酸の付加はN-結合型のガラクトマンナンのガラクトース残基を覆うことにより負に制御している。このように分裂酵母はガラクトースを特異的に認識するシステムを有しており、Gsf2/凝集素タンパクが細胞間相互作用を成立させるために必須の役割を果たしていることがわかった。

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© 2012 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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