2012 年 24 巻 138 号 p. 179-189
O-グリコシル化反応をp-キシレン中凍結条件で行ったところ、非凍結条件に比べて顕著な反応促進効果があることが見いだされた。凍結反応条件下グリコシル化の立体選択性に関し、反応機構についても、溶媒、濃度、糖供与体のアノマー位の立体化学及び保護基、などの種々の要因の効果を検証し、立体選択性は、凍結、非凍結どちらの反応条件においても基質濃度によって影響をうけることが明らかとなり、凍結条件下における反応加速は高濃度環境によると示唆された。また、溶媒凍結による基質濃縮効果は50倍程度であろうと見積もられる。凍結反応を利用した生物活性分子や複雑な糖鎖の合成への応用例についても、あわせてまとめた。