Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ヒトiPS細胞グライコームと特異的レクチンプローブrBC2LCN
Hiroaki TatenoJun Hirabayashi
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2014 年 26 巻 147 号 p. 1-10

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抄録
すべての細胞は高密度で複雑な糖鎖で覆われている。糖鎖は細胞の性質や系譜を反映し、それゆえ、ある特定の細胞型を同定するための細胞マーカーとしてよく用いられる。事実、ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)を同定するために用いられるステージ特異的胚性抗原(SSEA-3、SSEA-4)や腫瘍拒絶抗原(Tra-1–60、Tra-1–81)は糖鎖である。しかしこれまで、ヒトiPS細胞表面糖鎖の全体像、グライコーム、についてはほとんどわかっていなかった。我々は高密度レクチンアレイを用いて多数のヒトiPS細胞の網羅的糖鎖解析を行った。その結果、ヒトiPS細胞表面糖鎖の3つの特徴(α2→6Sia、α1→2Fuc、1型LacNAc)を見いだした。これらの特徴はDNAマイクロアレイとグリコシダーゼ支援・質量分析/液体クロマトグラフィー法で確認することができた。さらにヒトiPS細胞に特異的に反応する新規レクチンプローブを発見した。本レビューではヒトiPS細胞表面糖鎖と新規ヒトiPS細胞特異的プローブ・rBC2LCNについての我々の最新の知見について記載する。
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© 2014 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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